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更新日2021.08.10

初心者のための「リードナーチャリング」。概要から手法、従来の営業との違いまで分かりやすく解説!

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングは、

  • リード=自社の商品を買う可能性がある人。
  • ナーチャリング=育てる、に分解できます。


簡潔に言うと「自社の存在を認知した顧客が、自社の製品を買うようにする」と言う概念です。

リードナーチャリングの位置付け

リードナーチャリングの位置付け

リードナーチャリングとは、インバウンドマーケティングにおける段階の一つです。
インバウンドマーケティングは大まかに

  1. ユーザーを惹きつける
  2. ユーザーを育てる
  3. ユーザーを選別する
  4. ユーザーを顧客にする


の4段階に分けることができます。
リードナーチャリングは二番目に該当する概念です。

自社の製品やサービスに対して何らかのファーストアクションをしてくれたユーザーを「見込み客」と言います。しかし、見込み客はこの時点ではまだまだ購買するという心理には至っていません。
見込み客の気持ちを育て、購買意欲を上げて商談につなげる手法がリードナーチャリングです。
様々な商材でリードナーチャリングは使われますが、特に高額の商品やサービスは購入までの検討期間が長いことが多いため、見込み客とコミュニケーションをとりながら購買意欲を育てていくこの手法はとても適しているとされています。

リードジェネレーションとリードクオリフィケーション

リードジェネレーション

リードジェネレーションは前述の4段階のうち、一番目の【ユーザーを惹きつける】段階で、「自社の商品を買う可能性のある人を生み出す」ということです。
方法は様々ですが、広告を出稿して顕在的なニーズを取り込んだり、セミナーやブログ記事などでユーザーの役に立つ情報を発信することで自社の存在を認知してもらうこと、継続的な関係が構築できるようにユーザーのメールアドレスなどの情報を獲得することが主なゴールとなります。

リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションは前述の4段階のうち、三番目の【ユーザーを選別する】段階で、「育てたリードのうち、どのリードが顧客になる可能性が高いか考える」ということです。
一口にリードといっても、購入意欲が高まっているリードからそうでもないリードまで様々です。
「ここで商談すれば購入する可能性が高い」と思われるリードを考えることがここでのゴールとなります。

従来型のマーケティングとの違い

リードナーチャリングは従来型のマーケティングとは異なり、こちらから「商品を購入しませんか」などといった営業をかけることはありません。
ユーザー自身の課題解決に役立つような情報を提供しながら、「課題を解決するためには自社商品が必要だ」と気付いてもらうことが目標です。
つまり積極的な自社商品のアピールをするか否かという所に従来型との違いがあります

なぜリードナーチャリングを行うべきなのか

インターネット・SNSの普及

従来型のマーケティングプロセスが効果的だったのは、かつては情報を能動的に取得する方法がなかったからです。受動的に入ってきた情報の中から、最善のものを判断することが一般的だったため、熱心に売り込むことはある程度購入につながりました。
このような購買行動モデルをAIDMAモデルと言います。

AIDMAモデル



近年インターネットやSNSが普及し、私たちは知りたい情報を積極的に探すことが可能になりました。ユーザーが情報を比較・検討することができるようになったのです。
そのため、ユーザーが情報を得たいと思った時に適切な情報を提供し、ユーザーの判断を助けることが必要になってきたのです。
このような購買行動モデルをAISCEASモデルと言います。

購買行動の長期化

このように購買行動に「比較・検討」段階が加わったことによって購買プロセスが長期化しました。しかし、比較・検討しているユーザー全員に常に営業マンが付いて回ることはできません。
コンテンツなどを用意することで、ユーザーの比較・検討をサポートするとともに、常に自社の存在をアピールし続けることが必要なのです。

ユーザー心理の変化

購買行動が変わったことでユーザーの心理も変化しました。情報を能動的に獲得できるようになったので、比較的若い世代を中心に他者から情報を押し付けられることを嫌うようになりました
例えば、YouTubeなどで繰り返し流れてくる広告に対して嫌悪感を持つなどです。
継続的にユーザーの役に立ち続けることで、関係は維持しつつ積極的な売り込みは避けるスタイルが重要になっています。

とはいえ、情報の受動的な獲得に慣れている中高年やシニア層向けの商材に関しては、一定間隔のプッシュ型の情報が必要です。また、効果的に成約につなげるために商材に合った情報設計が必要です。

リードナーチャリングのメリット・デメリット

メリット

1.営業成約率のアップ=集客コストの削減

リードナーチャリングは、見込み客に対して様々なコンテンツを利用して、購買に向けた意識を育てていくマーケティング活動です。
人的活動を最小限にしながら成約率をあげることができるメリットがあります。
以下の2つの事例でそのメリットをご説明します。

  • MAツール
    見込み客の潜在意識を可視化して、それに合わせたコンテンツを利用したマーケティング活動のことです。 見込み客が認知フェーズなのか、検討フェーズなのかを知ったうえで適切なコンテンツを提供するので、無駄の少ない営業活動といえます。
  • 定期刊行物
    見込み客に対して定期的に商品やサービスの情報をお届けする手法です。
    一見手間がかかる手法に思われがちですが、冊子の作り方次第では「丁寧なおもてなし感」が演出でき、高開封率も望めます。顧客の感情を揺さぶり購買意識を高められる効果もあり、結果的に成約率が上がるとされています。

2.営業マンの営業スキルに左右されない

1で説明した通り、デジタルまたはアナログツールが中心のマーケティング手法のため、リード時では営業マンの人的スキルに依存する必要がありません。
営業確度が高まった時点での商談から営業マンの出番です。

デメリット

1.効果が出るまでに時間がかかる

リードナーチャリングはリードを顧客にするプロセスのことですが、これにはある程度の時間が必要です。よって、根気よく顧客との関係を維持する必要性があります。

2.各リードに合わせたコンテンツと施策が必要

リードと一概に言っても、自社を認知したばかりの段階から購入に対する意欲が高まっている段階まで様々です。
各リードの状況に合わせた施策を行うことで効果的に購買意欲を上昇させることができます。それを可能にするためにも各リードに対応できるようなコンテンツを作成しておく必要があります。

リードナーチャリング6つの手法を紹介&徹底比較

リードナーチャリング6つの手法を徹底比較
各手法が効果的な顧客の状態 相性の良い商材・ターゲット
メルマガ 幅広い状態の顧客→ステップメールで各リードに合わせた情報提供 主なターゲットは30〜50代
最寄品・比較的安価な商品
印刷物 初期のリード、休眠状態のリード、既存顧客など幅広く インターネットから積極的に情報を獲得しないシニア層
多面的な情報効果で魅力が増す商材
(主なターゲットは50〜80代
じっくり検討して購入する商品)
SNS 非リード〜初期のリード 10代〜20代の若者、toC向けの商材
自社サイト ブログ記事(SEO対策、コンテンツマーケティング)→初期のリード
自社・事業紹介→検討段階のリード
基本的には全世代、全消費者に対応。その商材の消費ターゲットとそれぞれのリード段階に併せたサイト設計を行うのが望ましい
セミナー 検討段階のリード 購入にあたり個別説明や対応が必要な高価な商材
リターゲティング広告 休眠状態のリード Web広告に対する抵抗の少ない30~50代

1.メールマガジン(メルマガ)【30代〜50代用商材向け】

メルマガは、自社独自の情報や顧客の課題を解決するような情報とそれに関連するホームページのURLなどを個人のメールアドレス宛に送信するものです。

比較的簡単な手法と思われがちですが、単純にメールを送るだけではリードの獲得はできないといわれています。
実際に、メルマガは平均的な開封率が20%前後と言われており、高い開封率とは言えません。
幅広い段階のリードに同じ内容のメールを送るのではなく、それぞれに適したコンテンツを提供することが重要です。

メルマガの効果的な手法例

  • ステップメール
    特定の行動をしたユーザーに対してあらかじめ準備しておいたメールを送信する
  • ターゲティングメール
    分類した各リードごとに適切な内容のメールを送信する


開封率やコンバージョン率などの効果測定を行いながら、PDCAサイクルを回し内容を改善することで効果の向上が期待できます。

2.印刷物(会報誌、情報誌、DMなど)【50〜80代用商材向け】

会報誌やDMなど紙の媒体は、メルマガと並んで代表的なリードと関係を構築するツールです。
定期的または商品配送に同梱して、自社商品やお役立ち情報などを送るものですが、対象は資料請求などで自社に興味を示したリードだけでなく、既存顧客や休眠顧客に対しても有効な手法です。

印刷物の、メルマガやSNSとの大きな違いは、携帯やデジタルツールの扱いに慣れていないリード(シニア層など)に対して効果的だという点です。また、一回ごとにかなりのボリュームのある情報が提供できます。

スマホの中に大量に流れてくる情報に対して、ユーザーの手元に「現物」として残り、いつでも好きなページから読むことができます。
また、冊子のサイズもA4からはがきサイズまでバリエーションが多く、デザインやキャッチコピーもダイナミックに創ることができ、ユーザーの心を大きく動かす機会を得られます。 印刷物の中でも種類によって違いがあります。

  • DM
    チラシに近く印刷物の中では比較的メルマガに類似しています。低コストで大量に発行できますが受け取った側からも軽く扱われがちで開封率も低いとされています。
  • 情報誌・会報誌
    発行には手間とスキルを伴いますが、冊子形式なのがプレミアム感を受け取った側に与えられ、また情報量が多く内容も凝っているので、開封率も高く保存性も高いと言えます。


また、委託する専門会社の選定にもポイントがあります。

  1. コピーや構成には、一定の編集技術が必要であり、専門会社の成果物の品質によって売り上げや顧客の囲い込み度に大きく影響が出ることがあります。
  2. 資料請求などで利用されるパンフレットと、情報誌は混同されやすいですが、パンフレットは印刷会社や制作会社が主に担当し、情報誌などのエモーショナルメディアを作るのは出版会社やメディア制作を行う会社です。作りたいものに合った会社に委託するよう心がけましょう。


情報量が多いほど商品の魅力が引き出せる商材と相性が良く、不動産などの高額商品、化粧品や健康食品などの説明商品によく使われています。

提供例

3.SNS(10〜20代用商材向け)

SNSも手軽に始められる手法の一つです。ビジネス情報をSNSを通じて収集することが少ない現在はBtoCマーケティングにおいて主に利用されています。SNSは拡散する性質を持つので、アカウントをフォローしているユーザーとの関係の維持と同時にそれ以外のユーザーへの認知拡大にも利用できます。

しかし、こちらも膨大なアカウントの中で自社のアカウントをチェックするかはコンテンツ次第になるうえ、継続的なコンテンツ作成も必要となります。
SNSはそれぞれ特徴があるので、自社商品との相性を考えながら活用することで効果は高まります。

  • Twitter
    文字制限がありますがリアルタイム性を重視しており、リツイート機能があり拡散能力が高いのが特徴です。ハッシュタグでバズらせることも期待できます。
  • Facebook
    中高年のビジネスマンの間で使われることが多く、比較的高い年齢層にも効果的なツールです。読ませる記事風紹介には向いています。
  • Instagram
    画像が投稿の大部分を占めるので写真映えしやすい商材との相性が良いでしょう。twitter同様ハッシュタグの工夫で大きな集客も期待できます

4.自社サイト(全世代向け)

自社サイトでは様々なコンテンツを用意することができるため、各段階のリードに対して対応できます
例えば、自社を認知したばかりの段階のリードに向けてはホワイトペーパーやブログ記事を活用して潜在的な課題を認識してもらい、検討段階のリードに向けては商品情報や自社のストーリーを紹介することが有効になると思われます。

5.セミナー(個別の高額商材向け)

こちらはリードナーチャリング手法の中でも数少ない対面型のものになります。
双方向のコミュニケーションをとることが可能なので、住宅や葬儀、保険といった高価かつ一人一人の最適解が異なるような商材を求めているユーザーに対して、丁寧な対応が可能であるという点で向いています。
また、内容は毎回変えることで、リードと長期間にわたって継続的に接点を持つことが出来ます。
セミナーに参加するということは、自社に対して一定以上の関心を寄せていることがわかります。そこで、他のコンテンツよりもテーマを絞った詳細な内容を用意することが効果的になります。

また、セミナーを利用してどの顧客が自社に関心があるのか選別することも可能です。
現在では対面だけでなくWeb会議機能を使ったセミナーも可能なので、会場を準備する必要がなく、より手軽にセミナーがおこなえます。

豆知識:参考にしたい!コンテンツを作る際に使える心理効果

以上の5つのチャネルにおいては、顧客の役に立つ情報を提供する事でリードとの関係を構築していくことになりますが、コンテンツを作る際の効果的な手法をお伝えします。それは「専門家や第三者の声を上手く活用する」ことです。
これは「ウィンザー効果」と呼ばれるもので、第三者の声を利用すると提供する情報に信憑性が増し、自分にとって有益な情報を提供してくれているというユーザーからの信頼を得ることができます。

例えば、皆さんは何かものを買うとき口コミサイトやSNSにおける評価を気にする事がありませんか?
現代では消費者は押し売りされたくない心理に変化していると述べましたが、その心理的変化にもよくマッチした戦略なので効果的です。

6.リターゲティング広告(一度購入から遠ざかったリード向け)

こちらは自社サイトに訪れたユーザーに向けて、他のwebページにおいても自社の広告を表示させるというものです。
リターゲティング広告は自社を認知しているユーザー全体にリーチできます。
しかし、これはユーザーに何かの情報を提供するものではなく、広告の効果が低くなっている現在では自社への興味を増大させる効果はあまり考えられません。
むしろ、休眠顧客や、自社商品の購入を悩み一度自社サイトを離れてしまった人に対して自社の存在をアピールするといった使い方が効果的だと思われます。

リードナーチャリングを実践するための基本的なステップ

STEP1 現在のリード情報をまとめる

まずは、これまでの営業活動の結果、獲得できたリードの情報をまとめましょう
対面型の営業からインターネットを利用したマーケティングまで様々な手法で行われたリード情報は一元化されなければ次以降のステップで有効に活用することができません。

STEP2 まとめたリード情報を分類する

一口にリードといってもそれぞれのリードにどれほどの自社製品への興味があるかはバラバラです。これらを整理せずにまとめて営業活動を行うことはコストの無駄に他なりません。 そこで、これまでのリードのインターネット上での行動(どの媒体のどの部分をどれだけ見ているか)や実際の行動(セミナーへの参加の有無など)を考慮して分類し、それぞれにあったコンテンツ作成を行っていくことになります。
また、ここではリードの購入意欲だけで分類するのでなくリードのペルソナを考えておくことがこれからのステップの役に立ちます。

STEP3 自社の保有するコンテンツを整理する

リードナーチャリングではリードとの継続的な関係の構築が必要で、そのためにはコンテンツが必要です。そして自社が今どのようなコンテンツを持っていて、それらがどの段階のリードに対して有効なのかを整理する必要があります。

STEP4 コンテンツの作成

最後にSTEP2で分類した各リードに対応したコンテンツを作成しますが、ここで大切な点が2点あります。
まずは、STEP2で考えたリードのペルソナに対して有効なチャネルでコンテンツを作ること。例えば自社のリードがシニア層中心なのにSNSでコンテンツを作成するのは効率が良いとは言えません。
次に、作成するコンテンツはSTEP3で整理した結果不足している部分のものを作成するべきという事です。すでに十分なボリュームのコンテンツがある部分に追加でコンテンツを作成することも効率がいいとは言えないからです。

まとめ

  • リードナーチャリングとは、「自社の存在を認知した顧客が、自社の製品を買うようにする」と言う概念
  • インターネット・SNSの普及により、リードナーチャリングはマーケティング上で重要な手法である。
  • リードナーチャリングの手法は6つ
  1. メルマガ
  2. 会報誌、DMなどの印刷物
  3. SNS
  4. 自社サイト
  5. セミナー
  6. リターゲティング広告


それぞれのメリット・デメリット及び相性の良い商材を理解して効果的に使うことが大切。


そして、リードナーチャリングを行う上で意識すべきこと

  1. 「選ぶチャネルを間違えない」
  2. 「コンテンツは各リードに合ったもの」
  3. 「コツコツ地道に」


チャネルもリードに提供する情報も様々な形がありますが、リードに刺さらなければ意味がありませんし、刺さってもすぐに結果が出るわけではありません。

そして、コンテンツに説得力を持たせるために「専門家や第三者の意見を活用する」こともとても大事です。これは既にリードナーチャリングに取り組んでいる方も意識することで、より効果が上がります。

何から始めていいかわからない方は、まずはリード情報をまとめてみることから初めてみることをお勧めします。

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