旭化成ホームズ、暮らしの実態を把握する訪問調査を実施
2022.11.22
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川畑 文俊)シニア事業推進部およびシニアライフ研究所は、運営するシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage(ヴィレッジ)」の入居者を対象に、暮らしの実態を把握する訪問調査を実施した。
さらにその結果をふまえ、安心・安全・健康長寿な住まいに必要な要素を再整理した「へーベルVillage設計指針」を策定し、自立~フレイル期のシニアの健康寿命延伸を目指した「へーベルVillage」の取り組みを強化したという。
■調査結果トピックス
- 一人暮らしでも「家事(料理・洗濯・掃除)」にこだわりのルーティンがあり、家の中での活動量を維持している
- 常備菜の作り置きや買い溜めなど「食材・食品の備蓄」の工夫で、3食調理を続け多品目摂取を実現する食生活を維持している
- 住み替えによるダウンサイジングと断捨離においても、「思い出の家具や飾り」を持ち込み、居心地のよい場所を設えている
- 災害不安から、建物構造には安心を求め、災害時に備えた備蓄を周到に行う傾向がある
- コミュニティラウンジなどでの入居者同士の緩やかな交流が身近なつながりを充実させ、災害時の安心感にもつながる
入居者宅への訪問調査で明らかになった暮らしの実態より、自立~フレイル期の後期高齢者にヘーベルVillageで長く安心して健康に暮らしてもらうためには、「日常の家事が行いやすい動線計画であること」「思い出の家具や飾りを置けるスペース・壁面があること」「食材・食品・災害備蓄品の収納・備蓄ができること」「身近な交流を充実させる空間としかけがあること」の4つの要素が求められることがわかった。
以上を踏まえて設計で配慮すべき点を再整理し、「ヘーベルVillage設計指針」を策定致したという。
<へーベルVillage設計指針>
①外出しやすく、日々の家事が続けやすい設計・設備
②災害時の不安に応える設計・設備
③自宅での落ち着ける居場所づくり
④緩やかなつながりを生む共用空間
この設計指針を個別設計提案に活かし、今後も「へーベルVillage」での生活を通じて入居者の健康延伸並びにQOLの向上に一層貢献できるように努めていくとのこと。
■自立~フレイル期 後期高齢者の健康寿命延伸を目指した設計指針に基づく提案 概要
【専用部:居室】
【共用部:コミュニティラウンジ】
■調査の背景
早くから元気な高齢者の住み替えニーズに着目し、2005年より元気な高齢者の安心・安全な暮らしを実現する住まいを目指したシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage」を提供してきたという。
対象となる元気な高齢者本人に加え、都市部に住む子世帯からの呼び寄せニーズにも合致し、2022年10月末時点で東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に133棟1708戸を運営しているとしている。
一方、2019年に実施した入居者アンケート結果などから、主な入居者である後期高齢者では入居者自身の健康認識とその実態に差があることがわかり、コロナ禍を経た今後の人生100年時代において、高齢の元気な入居者に長く健康に暮らしてもらうためには、より一層、健康寿命の延伸に資するサービスを盛り込んだ住まいを開発していく必要性があると考えたそう。
そこで、介護・フレイル予防の第一人者である東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室 研究部長 大渕修一氏と連携し、建物設計や相談員の関与内容、そして交流を生む仕掛けが一体となった「安心・安全・健康長寿応援メソッド」を開発。2022年4月より提供を開始している。
今回はさらに後期高齢者について、住み替えで重視していることや健康長寿に暮らすために工夫している事などを探る目的で、それらの実態をよりリアルに把握できる訪問調査を実施し、健康寿命の延伸に資する住まいづくりの要素を得ることを目指したとのこと。
調査では、自立~フレイル期のシニアにはこれまでの暮らしの習慣を大切にし、愛着のある家具や飾りを眺めながら思い出と楽しく過ごしている実態が明らかになったとされている。
これは、居室面積が限られるために自宅から家具をほとんど持ち込めない介護施設等とは異なり、自立したシニアが住むことを想定して居住面積を確保したヘーベルVillageならではの価値であり、健康長寿な暮らしを続けられる秘訣であると示唆される。
今回の設計指針の策定で、「安心・安全・健康長寿応援メソッド」の強化を図るとともに、これからもヘーベルVillage入居者の生活に寄り添った住まいの提供と改善提案を継続していくことで、健康寿命の延伸と社会保障費の抑制など超高齢社会における課題解決に貢献していくとしている。
■調査の概要
- 調査時期:2022年8月~9月
- 調査方法:自宅訪問による実地調査とヒアリング
- 調査対象:自立~フレイル期のHV入居者 10件
■調査結果
1.一人暮らしでも「家事(料理・洗濯・掃除)」にこだわりのルーティンがあり、家の中での活動量を維持している
入居者のほとんどが毎日3食自炊をされているという。
キッチンは、シニアの身体機能に配慮した高さでありながら普段使いの食器や調理器具類を納められる収納量と家電置きが一体となったオリジナル仕様が、料理に伴う一連の動作(切る・洗う・煮る・焼く・盛り付ける)を負担なく行えると評価されているとしている。
また、料理が億劫になってきた方には、シンク下のニースペースに椅子を持ってきて座って調理できることで自炊を促すなど、シニアキッチンの配慮が調理活動の維持継続に貢献していることがわかったとのこと。
一方、調理家電や調味料の数が想定より多く、置き場に窮している実態も浮き彫りになったそう。
夫婦、70代前半、自立歩行~緩歩
夫婦、70代前半、自立歩行~緩歩
洗濯は、朝洗濯派と夜洗濯派がおり、毎日決まった時間に行うこだわりの習慣があったという。
また、掃き出し窓前に設置した室内物干しがあることで、夜洗濯後の仮干しや雨天時の室内干しとして時間帯や天候に左右されずに洗濯を続けられ、生活リズムの維持に一躍を担っていたとされている。
掃除について、シニアは家で過ごす時間が長いことから、少しの汚れでもすぐに掃除をするなど賃貸でも自宅の感覚で綺麗に暮らしていたという。
平日はモップを利用してちょっとした汚れを掃除し、土日にはまとめて時間をとって掃除機掛けをするなど、掃除にもルーティンがあることがわかったとしている。
2. 常備菜の作り置きや買い置きなど「食材・食品の備蓄」の工夫で、3食調理を続け多品目摂取を実現する食生活を維持している
食事は、3食好きなものを食べること、準備負担を軽減すること、の両立を意識した暮らしをしていとされている。
有名店の鍋セットや肉のみそ漬けなどのちょっといいお取り寄せ、近居の子世帯によるおかずの差し入れ、常備菜(きんぴらごぼうやポテトサラダなど)の作り置き、など日々の料理負担を減らしつつ毎回の食事に一品足し、手軽に多品目を食べる工夫をされているとのこと。
このような食生活の工夫から、沢山の食品を冷蔵・冷凍しておける冷蔵庫サイズが必要で、一人暮らしの方でも400L前後(3~4人用)の大型サイズを使用している実態がわかったとしている。
また、新鮮な野菜・果物、毎朝食べるパンはお気に入りの店で購入するといった食材へのこだわりがあり、周辺で買い物をしやすく駅近でこだわりのお店にも出掛けやすい住環境が、自分で食材を選び自分で作って食べるという豊かな食生活を支えていることもわかったとされる。
左:単身女性、80代後半、自立歩行~緩歩/右:夫婦、60代後半、自立歩行~緩歩
3.住み替えによるダウンサイジングと断捨離においても、「思い出の家具や飾り」は持ち込み、住まい心地のよい場所を設えている
戸建住宅からへーベルVillageへの住み替えにより、住まいの広さは1/2~1/3程度になっている。
住まいの広さに合わせて断捨離をしても、厳選した愛着のある品は住み替え先に持ち込み、日常生活で利用するなどの豊かさが見受けられたとしている。
愛着のある家具の中には、嫁入り道具として祖父母からプレゼントされた桐ダンスや、父親と初めてお酒を酌み交わしたデーブルなど大切な思い出があったとのこと。
また、多くの方が持ち込んでいた家具としてガラス扉付き飾り棚があり、中には家族との旅行で購入したお土産や写真などの思い出の品、趣味で作った小物などの成果物などが飾られ、それらが良く見える場所を日常的に長くいる居場所としている生活があったとされている。
左:単身女性、80代後半、自立歩行~緩歩/右:単身女性、80代後半、杖~歩行器歩行
4.災害不安から、建物構造には安心を求め、災害時に備えた備蓄を周到に行う傾向がある
高齢者にとって「地震などの災害にあうこと」は心配ごとや悩みごとの上位に上がる※。
へーベルVillage入居の決め手としてご評価を得た建物構造の安心に加えて、水・ガスコンロ・ガスボンベなどの災害備蓄品も準備しておく用意周到さが見受けられた。
これらを備える収納が不足していたり、位置や大きさなどの使い勝手が悪い場合、部屋や廊下に荷物が出し置きされたままになるなど、つまずき・転倒が心配されるケースも見受けられたという。
左:単身女性、80代後半、自立~緩歩/右:単身女性、80代後半、自立~緩歩
※東京都福祉保健基礎調査報告書「高齢者の生活実態」(平成27年度)より
5.コミュニティラウンジなどでの入居者同士の緩やかな交流が身近なつながりを充実させ、災害時の安心感にもつながる
普段から入居者同士が共用部で挨拶を交わすなど顔見知りであること、コミュニティラウンジでの会話をきっかけに交流の輪が広がるなど、高齢期に重要となる人とのつながりがコミュニティラウンジを中心に醸成されていたとしている。
またそうしたつながりが、「地震後に廊下に顔を出して互いの安否を確認した」「1階の方に水害になりそうなときは2階の部屋に来た伝えた」など、災害時の支え合いとなり安心感につながっていることがわかったとのこと。
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